埼玉・所沢の「ところざわサクラタウン」の文化施設「角川武蔵野ミュージアム」にある「マンガ・ラノベ図書館」。7月8日(木)、同図書館は世界最大級のライトノベル図書館としてリニューアルオープンし、記念セレモニーが行われました。
セレモニーには、公益財団法人角川文化振興財団理事長を務める株式会社KADOKAWAの角川歴彦取締役会長や角川武蔵野ミュージアムの松岡正剛館長、さらに、#2i2のメンバーで大のラノベ好きだというタレントの十味さんらが出席。新しく生まれ変わった図書館の施設から、KADOKAWAがこの図書館を通じて果たすべき役割や今後の展望について取材しました。



■角川文化振興財団・角川歴彦理事長コメント

セレモニーは角川理事長のあいさつからスタート。角川理事長は「マンガ・ラノベ図書館」のリニューアルが出版社各社のご協力によって実現したことに感謝を述べ、そして、「マンガ・ラノベ図書館」が日本の文化の新しい顔になればいいと期待を寄せました。
「本日はマンガ・ラノベ図書館のリニューアルに多くの方に集まっていただき、ありがとうございます。このマンガ・ラノベ図書館は、ロックミュージアム(角川武蔵野ミュージアム)が誕生したときから、ライトノベルの専門図書館を作りたいと構想し、作られました。
ライトノベルが誕生してからすでに30年、ライトノベルは漫画と並び、日本のサブカルチャーの先端を担うものとして存在感を強め、今日に至ります。そのライトノベルの総合図書館が、出版社各社の協力を得てリニューアルしました。心から感謝申し上げます。
ライトノベルの専門図書館は日本の図書館の中で唯一無二であり、つまり、世界で最大ということになると思います。これからコロナが収まり、インバウンドによって外国の方々がこの図書館を訪ねるようになります。そして、いつか『マンガ・ラノベ図書館』が日本の文化の新しい顔になるのではないかと期待しています。
出版社の皆様には、書店ではできないキャンペーンを、ライトノベルに関心のある子供たちや大人が集まるこの図書館を使って行っていただければありがたくと思います。私も週に何回かここに来ますが、親子でこの図書館でライトノベルを読んでいる様子を見ると、とっても心が温まり、癒される気分になります。これも、お子さんもライトノベルが好きというだけでなく、お父さん、お母さんもライトノベルが好きだという世帯がそろっているということであり、この風景こそが本が好きな日本人の風景を象徴していると思います」
■角川武蔵野ミュージアム・松岡正剛館長コメント

続いて、角川武蔵野ミュージアム・松岡正剛館長が登壇。「マンガ・ラノベ図書館」の存在が、サブカルチャーが発展した理由や歴史、サブカルチャーが持つ文化的意義や社会的背景をひもとき、そして、ライトノベルが発展した理由を考えるきっかけになればいいと語りました。
「やっとこの日を迎えられて、うれしく思います。ここにいらしている講談社の野間さんをはじめ、多くの出版社に協力していただいて本を収めていただき、大変ありがたく思います。
このミュージアムは元々、サブカルチャーを重視する、世界でも珍しい試みとしてスタートしました。なぜ日本でライトノベルのようなものがここまで流行したかというと、『軽=(ライト)』という概念が江戸時代からあり、大正、昭和には軽演劇、軽食といった『ライトなもの』が定着した歴史を持つからだとが考えます。
この図書館を通じて、この意味を解読し、その奥にある意義や文化、社会、どうしてライトノベルのようなものが定着したのか、日本人というのはどのような社会文化を持っていたのかが、これから解かれていくのだろうと思います。また、元々はさまざまなメルヘンやファンタジー、童話といった『軽いもの』が世界中にあった中で、ライトノベルがここまで大きくなったのには、何か理由あるのだと考えます。このミュージアムでは、それを解読し、伝えていきたいと思います」
■講談社・野間省伸代表取締役社長コメント

出版社各社を代表して、株式会社講談社・野間省伸代表取締役社長からごあいさつをいただきました。野間社長は、「マンガ・ラノベ図書館」を“ラノベ界のアレクサンドリア”と独特な言い回しで表現。ライトノベルを後世に残し、後世の人たちは先人たちから新たなインスピレーションを得る―。そんな未来を実現するために、「マンガ・ラノベ図書館」が持つアーカイブとしての機能に期待すると語られました。
「本日は、この『マンガ・ラノベ図書館』のリニューアルオープン、誠におめでとうございます。ライトノベルアーカイブプロジェクトは、ライトノベルの完全収集を目指しているということで、弊社刊行の全ライトノベルを収蔵しております。
今やどの年代にも愛され、全盛期を迎えたライトノベルですが、初期には若者の関心に寄り添い、権威からは最も遠い存在として存在していました。しかしそれが、子どもたちの人間関係や劣等感などにきちんと向き合い、主人公の行動を通して、解決の道を記す―。ライトノベルは、本当の意味での青春の書となったと言えると思います。そして、そういった自由な雰囲気、作者と読者が近い雰囲気に引かれた多くの才能がライトノベルに集まり、国境を越えて書籍や漫画、アニメとなって世界中で愛される存在となりました。
ここに勢ぞろいしたライトノベルは、日本文化の一役を担うまでに成長しました。こうして一大ジャンルとして成長したライトノベルがさらに遠くへ進むために、この『マンガ・ラノベ図書館』があるのかもしれません。
”ラノベ界のアレクサンドリア”と言いますか、全てをそろえて後世に残す。後世の人はかつての英知から新たなインスピレーションを得る。そんな未来のために、これからもアーカイブとしてのライトノベル収蔵にご尽力いただければと、当社としても期待しております」
■マンガ・ラノベ図書館・井上伸一郎ディレクターコメント

「マンガ・ラノベ図書館」の井上伸一郎ディレクターは、図書館のリニューアル概要を説明。1年前のオープンから蔵書数が約9000冊増加し、現在は約3万5000冊が所蔵されていること、さらに、最大で5万冊まで収納が可能であることを紹介しました。
「本日は、『マンガ・ラノベ図書館』リニューアルオープンに足をお運びいただきまして、ありがとうございます。この図書館は昨年8月のオープン以来、KADOKAWAのライトノベルを中心に約2万5000冊、そして、1年間でさらにKADOKAWAの新作、新刊が1000冊増え、約2万6000冊の本を収蔵してまいりました。今回、各出版社様の協力を得て、約3万5000冊の収蔵となりました。9000冊をご寄贈いただきました各出版社の皆様に感謝いたします。毎月新刊がどんどん出てきますが、最終的には約5万冊が収蔵できますので、さらに蔵書数を増やしてまいりたいと思っております。
2階はライトノベルを集めたアーカイブコーナーがございます。1階は約3000冊のKADOKAWAのコミックと約2000冊の児童書が配架されております。そして、入り口では、毎月の新刊やメディアミックス作品を紹介するコーナーを展開してまいります。
リニューアルにあたり、プロジェクターや懸垂幕といった設備を充実させました。今後は、新たに設置いたしましたKADOKAWA直営店のダ・ヴィンチストアの出張店で、図書館で読んで気に入った本をすぐに買えるようになります。今はKADOKAWAの本だけですが、この秋から各社の新刊を買えるように準備しております。また、このダ・ヴィンチストアを通して、作家のサイン会なども展開してまいりたいと思います。サイン会に参加した後にこの図書館でトークショーを行うなど、作家とファンのふれあいを考えてまいります。
源義庭園に面するウッドデッキでも本を読めるようにリニューアルいたしました。空調のきいた室内だけでなく、天気の良い日には明るい日差しの中で本を楽しむことができます。
図書館は新型コロナウイルスの感染対策にも気を使って運営しておりますので、ぜひ安心してご利用いただければと思います。
今後とも、ますます充実させていきますので、よろしくお願いいたします」
■人気グラビアアイドル・十味コメント




最後を飾ったのは、グラビアアイドルでアイドルユニット・#2i2メンバーとしても活躍する、十味さん。大のラノベ好きを公言する十味さんは、中学時代にライトノベルに出会い、オタクとしてのルーツがライトノベルにあると、自身のライトノベルの思い出を披露してくれました。そして、「マンガ・ラノベ図書館」を、初めてライトノベルを読んだときに感じたドキドキやワクワクを味わえる場所だと表現しました。
「本日は、『マンガ・ラノベ図書館』のリニューアルオープン、おめでとうございます。
私とライトノベルとの出会いは、中学生の時に友達に薦められた『バカとテストと召喚獣』という作品だったんですけど、どこか私とつながる共通点のある登場人物たちが頑張る姿がとても面白くて、私の中で始まりの一冊となっています。そして、『とあるシリーズ』は、私のオタクのルーツともいえる作品となっております。こちらの作品からは、想像力と一歩踏み出す勇気をもらえたと思います。
インターネットが普及していく中で、本と向き合う機会は少なくなっていると思いますが、『マンガ・ラノベ図書館』では、初めてライトノベルを開いたときのドキドキやワクワクがまた味わえる場所なのではないかと、本日訪れてみて思いました」